『サマーウォーズ』についてダラ語り

サマーウォーズ』観た。おもしろかった。おもしろかった。けど。うーん…。

以下ネタバレ満載のため畳む。
細田先生、やっぱこれは八百長だし能書きに偽りアリなんとちゃいますか。「家族」や「普通の人たち」がそれぞれに力を発揮して、その「ネットワーク」が世界を救う、って話には、なって、ない…です…。結局やっぱり、物凄い人脈のある人や、突出した才能のある人が活躍して、事態は何とかなってる。いや、もちろん要所要所はそれで構わないけれども、せっかく「チームプレイ」的な設定を用意したんだからそういう設定ならではのおもしろみをなんで描かないのかな、と素朴に疑問に思います。せめてもうちょっと親戚の人たち、特におばさん連中を活躍させてほしかったな。身も蓋もないこと言うけど、居るだけ、じゃないかと…。ベタっちゃベタだけど「しょうもない特技が意外な形で役に立つ」みたいなのがいっこぐらいあっても良かったんじゃないのかなあ。特に仲里依紗のおばちゃんは絶対なんかやってくれる〜と期待してたんだけど…。

本当は「居るだけ」でも良いんです。その「居るだけ」がどんなにおおきな力になっているのか、が描かれていれば。でもなあ、そういうとこ、あったかなあ。うーん…。

この映画には、大勢で食べるシーンが何度も出てきて、そこが評価されているようなのですが、いまいちピンとこないんだよな。そこはおそらくこの映画の中で「家族が家族で暮らすことそれ自体の豊かさ」を描こうとしている部分だろうと思うのだけど、それがピンとこない。ピンとこないから「居るだけ」で良いんだ、って呑み込めないんだと思うんだ。だから花札勝負にも乗っかれない。八百長に見えてしまう。あれはなー、八百長だろう…!他に手立てがないからやむなく大博打を打って出…てるんだろうけど「えっ、世界の危機なのに運まかせ?!」と思っちゃったし、それは勝負演出のまずさのせいでもあるんじゃなかろうか。あと、世界の人々が夏希にアカウントを託すシーンははっきりひどいだろ。あんな陳腐な感動演出って…。バックでこどもがニャーニャー歌ったりしてるしさあ。いくらなんでもあれはないよ!花札もなあ、置きに行った小道具感があるんだよな…。確かにやってた。夏希と侘助花札やってた。しかしなんつーか、ここの一族集まっちゃあ花札やってんだろうなー、うちも正月に親戚が集まるとやったなードンジャラ!みたいな連想を思わず走らせてしまうようなリアルな手触りがないんだ。なんだろう。考えてみれば「時かけ」のときもそうだった。スクリーンのあっちの人に頬っぺた触られるみたいな「感触」がないんだ。これってわたしの問題なのかなー。うーん。

観ていて面白かったし興奮した。これだけいろいろ言いたくなるのも、捨て置けない魅力があるから。でも、がぎゅっとつかまえてズブズブ嵌めてはくれない、このもどかしさ。時かけに続いて、二連敗。細田先生とは相性が悪いのか?近々のうちに『ぼくらのウォーゲーム』でもう一度勝負したいと思います。

追記:
肝心なこと書き忘れた。観てて至福でかつ辛かったのは、富司純子の声があまりに豊かでさ。画が完全に負けてるんだもの。辛かった…。