いまさらだけど『マツケンサンバII』を激賞したいのでそうする。


2009年にもなって、しかもこんな真夜中(いや書いてるうちに早朝)になにやってんの、とは自分でも思いますが、
マツケンサンバII』は本ッ当うにすばらしいよね!!
上の動画は2004年のFNS歌謡祭のものですが、総勢38名の腰元&町人ダンサーズ、オーケストラによる分厚い生演奏、気合の入った演出が会場自体の豪華さと相俟って一段と華やか。いやー、これを生で観たかった!このFNS歌謡祭も含めて、日本のレビューショウって欧米のものに比べて貧相で見劣りするものが多くて悲しいけど『マツケンサンバII』ならイケる。日本からの刺客としてグラミーアワードに送り込みたい。これをぬるい半笑いで眺めている客席の芸能人に苛立つよなー。もっと嫉妬と羨望のまなざしで食い入るように見つめろよ!おまえら自分が何の仕事してるかわかってんのか!

まず松平健さんは、時代劇俳優で、かつ舞台俳優でしょう。時代劇の所作、舞台の所作、ダンス、歌唱、その他もろもろ基本がおそろしく出来上がったプロ。その上ガタイがでかいでしょう。舞台栄えするんだこれが。そしてなによりこの人は「ザ・スター」なんですね。望んでも得られない綺羅星の輝きを持ってる。そんな人がきらびやかな衣装でサンバを唄い踊るって、それはこういう扮装でさえなければただクオリティの高いレビューショウなんだけど、それを時代劇の装束でやっちゃったところが、コロンブスの卵的一大発明なんだよなあ。伝え聞いた話によれば、元は普通に洋風のレビューショウをやっていたんだけれど、その前の幕でやっているお芝居が時代劇(もちろん「暴れん坊将軍」)だし、また大半が年配である観客の好みにいまいち合わない。そこから始まった試行錯誤がこの『マツケンサンバ』シリーズという怪物的作品を生んだらしい。あんパンとかカレーパンみたいなね。この創意工夫気質、和洋折衷気質が楽しい。

ひたすらゴージャスで、メロディーやリズムやダンスや色彩やなにもかもがきらびやかで、幸福感に溢れてて、上品。あのね、よく観て欲しいんですけど、品があるんです!!時代劇でサンバって、とてつもなくキッチュなのに、松平健という人の持ってる品の良さがギリギリのバランスを保っていて、だからただ「派手」なんじゃなく「ゴージャス」が成立してるんです!そこが本当に奇跡的で、他の役者じゃなくて松平健だったからこそ『マツケンサンバII』はこんなに素敵な作品になったんだとわたしは確信してます。

現代劇なんかでのこの人の大仰な演技は正直苦手だし、今の時代には料理の難しい素材だと思います。でも、実力も華も品もあるスターが生かされないことは全く残念で寂しいことなので『マツケンサンバII』大ヒットという形で21世紀の芸能史に爪跡を残したことに喝采を送りたい。マ・ツ・ケン!マ・ツ・ケン!(大群衆)マツケンっつったら松山ケンイチだけじゃねえぞ!松平健のことも思い出せ!

ブーム真っ只中に、もっと熱心に観ておけばよかったと反省中。舞台ではまだこの演目はかかっているのかしら。ならば一度は松平健座長公演に足を運ばねば。