M-1グランプリ 2007

今年もどうなることかと思いましたが…という気持ちが最終決戦の時点でも拭えなかったんですが…いやあ、M-1って、どういうことになろうと必ずなんらかの大きなドラマが訪れるんですねえ。物凄い数の人が、魂や命を掛けて挑む対象においては、その情熱の奔流そのものが生きもののように暴れて何かを起こさずにはいないんですね!

選考の全ての過程がガチだとは言いませんが、最終的な結果に誰の思惑も差し挟む余地はないということが、今年証明されましたよね。結果をコントロールしたい人はたくさんいるでしょうけど、芸は生ものだから、したくてもそれができない。その当日の生の舞台の出来のみをプロの芸人が評価するというシステムがそれを可能にしている。だから、この大会で優勝した芸人がその年いちばんの漫才師なんだと信頼することができます。

歴代の優勝者にはそれぞれワクワクドキドキするような勝利への道程がありますが、それにしてもサンドウィッチマンのそれは抜群にかっこいいですね!彼らの優勝が必然だったにしても、敗者復活55組の中から頂点まで勝ち上がるのは並大抵のことじゃないですよ、ほんともう…!優勝が決まった瞬間はゾクゾクしてしまいました。

それと同時に準決勝の審査員はなにしてんだということになっちゃいましたね…。予選の審査員は作家さんや演出家さんなので、演者の目線とは違うということや、予選と決勝で舞台の空気があまりにも違いすぎる(ポイズンは同じネタをやって準決勝では大ウケだったらしいです。わたしも千鳥の同じネタを3回戦で見ましたけど、そのときはもっとウケてたし実際おもしろかった。*1)ことなどを考えると頭ごなしに否定も出来ないけど、少なくとも、決勝の審査と予選の審査の間に、明確さや透明度の点で差がありすぎるということは来年から解決しないとダメだと思う。

大竹まことの言葉どおり、キングコングM-1挑戦はすがすがしかったなあ!青春だったね…。自分たちの長所と実力を最大限に生かしたいい漫才が出来ていて、本人たちもとても楽しそうでした。正直、前回のM-1以降のキングコングはちっとも好きじゃなかったけど、今回の彼らはすばらしかったです。本来なら彼らの持ち味が好みから最も遠いはずの大竹まことが大きく評価せずにはいられなかったのもよくわかる。

トータルテンボスは、よく練られたいいネタを二本揃えてきて、それをやり切れてましたね。去年のネタと比べたら格段に良かったと思います。あと1年あったらなあ…!というあたりタカトシとだぶる……

しかし…わたしは本来変化球派の、ネタの発想や構成の新しさに驚き感嘆したい方なので、ここのところの彼らの迷走ぶりが寂しいです。それが番組にもはっきり影を落としていると思いますし。厳しいだろうけど頑張ってまた凄い漫才を発明して欲しいなあ!好きだからこそ期待してしまいます。

ハリセンボンの春菜たん、ネタが終わった瞬間手がブルブル震えまくってて萌えた。彼女たちはこれからも何度か決勝に出てくると思います。ハルカたんは天才だからそのうちきっと最終決戦にも残りますよ!

M-1ももう7回開催されて、実力・ポテンシャルのある人たちがあらかた優勝・卒業していって、さすがに人材も枯渇してきたかな…という気はぶっちゃけしなくもない2007年でした。参加資格のある人たちは現段階では迷走期か停滞期か成長途中か、もしくはコント師かという感じなんですよね…。来年のこの時期、殻を破ってびっくりさせてくれる芸人さんが表れることを心の底から期待しています!

*1:オチだけ今日のとは違いました。